389 セールスDLL

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消失したものです。弊社にて過去のデータを浚い、概ね回復しましたが、
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ご了承ください。
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経営コラム SOLID AS FAITH 第389号
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 ご愛読ありがとうございます。第389話をお届けします。

 ふと気付くと、あと10号少々で400号に到達する時期となりました。メルマ
ガ創刊当初には、「100話も続けばうまく行った方」ぐらいに思っていました
が、ネタは尽きることがなく、ここまで辿り着きました。400話は既に原文を
書き終えており、それに幾つかの関連記事や寄稿的な文章を加えて発行しよう
と考えています。今年は、400話発行とかなり近いタイミングで17周年記念特
別号も発行することになります。今からじわじわと準備を進めて行きたいと
思っています。

 年度が替わる時期。クライアントさんの繁忙で売上が下がりがちになる2月
・3月が終わり、細かな案件を拡大しつつ、提案強化に取り組む時期となりま
した。以前からPR欄でも書いている「人材調達」プロセスの構築の案件も多い
一方で、既存事業の手詰まり感から、営業強化や新規事業の立ち上げなどの案
件も目立ちます。「人材調達」の案件では、ハーズバーグの二要因論などの人
材の動機付け手法を意識しつつ、新規営業系の案件では、(ポーターはあまり
好きではないのですが、)5フォースの各々を意識しつつ、為すべきことを考
える商売が多くなっています。
 
 今号は『セールスDLL』と題して、売ることに必要な資質について考えてみ
ました。「人に買わせる資質」、ないしは「人をその気にさせる資質」は、草
食系の人材が増えるにつれて、徐々に失われつつあるように見えます。営業ベ
タも転職ベタも婚活ベタも、それら全部に通底する「資質の欠落」のような形
でまとめられたら面白いかと思い、書いてみた号です。お楽しみ戴けたら幸で
す。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想など
へのお返事の目標納期は5営業日!!
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その389:セールスDLL

 この人は落としましょうと、履歴書を見て私が言うと、まだ若い人事総務部
長は驚いて私を見返してきた。過去数年間、大学の就職課に求人票を届けるこ
とで、新卒学生を採用し続けてきたこの会社では、応募学生の質の低下が問題
となって、第二新卒採用に打って出ることになった。大学卒業から3年以内の
若手人材の履歴書と職務経歴書がギリギリ二桁ほど、目の前のテーブルに積ま
れている。
 
 人事総務部長が指したのは、大学卒業時に就職が決まらず二年間派遣社員と
して働いてきた人物。派遣先は大手企業の販売子会社。職務経歴書には卸問屋
を巡って親会社の商品の営業をしていたとある。私が残した応募者には大学卒
業以来フリーター状態の者もいる。営業経験者を重視したいと人事総務部長が
言うので面接はすることにした。
 
 一部始終を見ていた社長が、「派遣経験はダメですかね」と笑って尋ねてく
る。「そうですねぇ。派遣登録をしている人には、成ろうとして成った人と成
らざるを得なくて成った人がいると思うんです。前者は、所謂キャリア・プラ
ンが疎ましいとか言う考え方の人だと思います。成らざるを得なかった人の方
には、さらに二種類います。一つは軽度の障害があるとか育児や介護をすると
か、自覚的な理由がある人です。もう一つは、無自覚の理由で正社員に成れな
かった人だと思います」と私は答えた。
 
 私は鞄を開けて、その無自覚の理由を尋ねる社長に一冊の本を手渡した。
「これ、良かったら、貰ってくれませんか。テレビにも出ている若手評論家の
本です。『日本はズレてる』とか言うので読んだのですが、今一でした。古本
に売ろうかと思ってたんです。まあ、尤もと言うことも勿論それなりにはあっ
て。『就活で自分を売れない人は、最も身近な自分自身という商品でさえ売れ
ない。人に買わせたいと言う気持ちを起こすことができない』とか書いてあり
ましたよ。あ。ここですね」。

 遥か以前、大手企業を早期退職した中高年人材を人材紹介業として売ってい
た頃、或る大手のアウトプレースメント会社では社内用語で、就活のことを
「マーケティング活動」と呼んでいた。売れない人はいつまでも売れ残る。そ
して、売ってくれないアウトプレースメント会社を去って、派遣にしろ紹介に
しろ、自分を売ってくれる誰かに身を任せる。

 この人達には、簡単に付与できない「相手に売るための何か」が欠落してい
る。「自分の都合や欲望を相手に押し付けるための何か」かもしれない。職業
適性検査の結果によると、私にもそのDLLのようなものがない。機会さえあれば、
その生々しい説明を私は幾らでもできる。ただ不退転の決意なしには、自分か
らその機会を作ることができない。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

4月。年度始めの会社も多いのではないでしょうか。
新卒社員だけではなく、新たに入った社員やスタッフの
質の確保の目処は立ちましたか。

人材の質と量は反比例すると思われています。
量を集めれば、質が下がり、
質を追求すれば、量が下がる。

しかし、それは、人材の採用と育成、そして定着の流れが
きちんと設計できていないから生じる
原始的で場当たり的な対応状況でしかありません。

これを機会に、
人材の採用・育成・定着のメカニズムの構築に取り組みたい。
そのようなご意向がございましたら、
是非ご一報ください。
実績多数です。
 bizcom@msi-group.org

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『「学力」の経済学』 中室牧子 著
■『本質を見通す100の講義』 森博嗣 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第390話 『体温の伝播』 (4月25日発行) 
 取引業者相手に値切りに値切る方法をまとめた『体温の伝わる交渉…』と言
う書籍を読みました。また一つ、中小零細企業の経営に向いていない書籍を見
つけたような気がします。考えたことをまとめてみました。

(完)